流れ星を見ただけ
ついさっき、疲れ切って夜道を歩いていたら
流れ星を見てしまった。
久しぶりのことだった。4年ぶり?もっとかもしれない。
田舎に住んでいたころは、もっと頻繁に見ていたんだろうけど。
思ったより、キッといていて、鋭かった。きんいろだった。
いい。
疲れ切っていたけど、会社を出る直前にマグカップを落として割って、片づけていたら終電逃しそうになって、走ってクタクタになって、電車では座れなくて、巨体の酔っぱらったサラリーマンがこちらに倒れてきそうでヒヤヒヤして、これから帰っても明日のプレゼンの準備でほぼ眠れそうにないけど、
それでもいいのだ。
全部いいと思えた。流れ星を見ただけなのに。
思い出した。むかし読んだ池澤夏樹の詩集に「朝焼けをあつめる旅人」の話があった。
彼は、美しい朝焼けをあつめていたのだけれど、ある日とびっきり美しい、それは今までに見たこともないくらいの朝焼けを見てしまって、それで満足して、朝焼けを集めるのをやめた。
何かを見て、感動して、そこに自分の生まれてきた意味とか、これから死んでゆくこととか、それら全部を見出すことができたらいいのにと思う。
きっと、色んな条件がちょうどそろわなければ、そんなことは起こりえないんだろう。