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備忘

日々思ったこととか、学んだことをアウトプットしていく

すきな古典の一節

死んで行くひとは美しい。
生きるという事。生き残るという事。
それは、たいへん醜くて、血の匂いのする、きたならしい事のような気もする。

太宰治 斜陽

 

私は人生を見渡しても何もほしいものはなかった、が、この紫色の火花だけは、凄まじい空中の火花だけは命ととりかえてもつかまえたかった。芥川龍之介「火花」

 

自分には幸福も不幸もありません。ただ、一切は過ぎて行きます。自分が今まで阿鼻叫喚で生きて来た所謂『人間』の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思はれたのは、それだけでした。ただ、一さいは過ぎて行きます 太宰治 人間失格

 

第一、ほんとに惚れて、死ぬなんて、ナンセンスさ。惚れたら、生きることです。坂口安吾不良少年とキリスト」

 

君、たのむ、死んではならぬ。自ら称して、盲目的愛情。君が死ねば、君の空席が、いつまでも私の傍に在るだろう。君が生前、腰かけたままにやわらかく窪みを持ったクッションが、いつまでも、私の傍に残るだろう。太宰治「思案の敗北」

 

私は恋をする人間ではない。私はもはや恋することができないのだ。なぜなら、あらゆる物が「タカの知れたもの」だということを知ってしまったからだった。"坂口安吾『私は海を抱きしめていたい』

 

私はふと、大きな、身の丈の何倍もある波が起つて、やにはに女の姿が呑みこまれ、消えてしまつたのを見た。私はその瞬間、やにはに起つた波が海をかくし、空の半分をかくしたやうな、暗い、大きなうねりを見た。私は思はず、心に叫びをあげた。それは私の一瞬の幻覚だつた。空はもうはれてゐた。

坂口安吾 私は海を抱きしめていたい

 

 

私は海を抱きしめていたいは、かなり癖になる。別に、私はそもそも女だし、主人公の気持ちに全面的に共感できるわけではないが、美しい世界観にただ酔っていたい。

あと、あらゆるものがタカの知れたものだ、という感覚はちょっとわかる。別に世間を疎んでいるわけでも、明日生きていくのが辛いわけでもない。

けれど、なんとなく。