やさしさとは
例えば、目の前の死にそうな人を助けたら、自分も死ぬかもしれない。
そんなとき、どうするだろうか。
考える前に体が動くか、それともどうすれば良いか分からなくて固まってしまうだろうか。
仮に、命をかけて助けたられたとする。
その人はみんなから喝采を浴び、栄誉を手にするだろう。
しかしその人はそんなもののために命を懸けたのではないのかもしれない。
100%、誰かのために何かをすることはできるのだろうか。
それは無理なんじゃないかと思う。
命をかけて目の前の死にそうな人を助けた彼も、その人を助けたいという衝動にも似た気持ちと、目の前の人を見捨ててこのまま生きていくことの胸糞悪さというか、後悔とか、そういったものを感じたくないから、という気持ちも少なからずあったのではないかと思うのだ。
とどのつまり、自分のためだ。
自分が、自分に失望したくないから。みたいな。
それが悪いことだとは全然思っていなくて、なんというか、人間だったら当たり前のことじゃないかと思うのだ。
愛故に尽くすことさえも例外ではない。
その人のことが好きで好きでしょうがなくて、幸せになってほしい。だから誠心誠意尽くす。それは、純粋に愛する人のためを思っているのと同時に、自分のためでもあるのだ。
愛する人の幸せは自分の幸せでもあり、愛する人の痛みは自分の痛みでもあるからだ。
という、人はみんな結局利己的でしかないという話。