瀟洒、典雅

日々思ったこととか、学んだことをアウトプットしていく

東京へ

東京は、生まれ育った九州の片田舎に比べたら別世界であった。

まず、人が沢山いる。知らない人が。

町全員知り合いなんてことはなく、みんな他人には無関心で、自分の好きなことをして暮らしている。

生き方も多種多様だ。

どんな仕事をしたって、周りから後ろ指さされることはなく、みんな、他人の人生とか辛い出来事とかをひとつの物語として消費している。

やりたい仕事、たくさんある。

中学のとき、世の中の職業は13歳のハローワークに書かれているのでぜんぶなんだと思っていた。

どうしよう、やりたいのない。

周りの大人を見ても、別にこうなりたい!と思える人はいないし、絶望していたのに。

 

それから、物がたくさんある。

高校の時、車で30分かけていく隣町の唯一のスーパーがライフラインであった。

東京は、マンションの下に24時間営業のコンビニがあるし、駅の周りには500円以内で腹を満たせるチェーンの牛丼やカレー屋がたくさんあって、しかも美味しい。

服は駅ごとにルミネがあって、日によって商品が入れ替わるし、もうドラッグストアなんて100メートルに一個くらいあって、つねに最新の化粧品を手に入れることができる。

 

田舎にあった、溢れるような星空や澄んだ空気や、夏の日の光る入道雲、秋になると黄金に輝く田園風景、吸い込まれそうな桜並木、早朝、誰もいない広い坂道を自転車で駆け下りる爽快感や、夕暮れ時の夕飯の匂い、夜の静けさ、そんなものがなくても何不自由なく、むしろ自由に生きていける。