受験のこと
久々に実家に帰って、学生の時のことを思い出した。
沢木耕太郎の深夜特急に、未来を失うまでの執行猶予の話があったが、20代中盤になったいまでもそれは変わっていない。
私は何者にでもなれる、そんな無限の可能性をもっているし、失いたくない。
高校生の時なんて、それがもっと色濃く出ていて、
進路を決めるなんて無理だった。
だから私は、逃げた。
中堅の進学校の理系で、周りは学校の先生や看護師やそういった、夢を持っていて、私はよくこの歳で将来をひとつに絞れるなと思っていた。
高3の時に理系の学部を受験することを辞めて、何故かアメリカに行こうと思った。
何故アメリカだったかは、なんとなく夢を掴めそうだったから。
高2のおわりにアメリカに行こうと決めた私は正当にアメリカに行く方法を必死で探した。
そして、アメリカの大学に入学することを決めた。
アメリカの大学に入学するには、SATだかを受けなくてはいけないらしい。
今の英語力ではおそらく無理なので、日本のアメリカの大学に行くための専門学校みたいなのに行く必要があるが、何しろお金が足りなかった。
最終的には金銭的な部分で折り合いがつかずに、あきらめて国内の留学制度のある外国語大学を受験した。
勉強をしたくなかった。
大多数の他の高校生と同じで、目の前の数学や化学に意味があると思えなかった。
周りの奴らと全く違う進路に進めれば、カッコイイ、すごい、と思われれば、何でもよかった。
ほんとうは偏差値の高い国立大学にストレートで行きたかったのだけど、勉強から逃げて手っ取り早くアメリカを目指した。
あの時、お金があってアメリカに行っていたら、今もっと違ったのかもしれないし、変わらないのかもしれない。
色々と諦めたり、よろこんだり、少しだけ努力したり、絶望したこともあったけれど、後悔はしていない。