瀟洒、典雅

日々思ったこととか、学んだことをアウトプットしていく

深夜特急

バンコクから、タイの外れにあるノンカイという小さな街まで列車で行こうと思った。

沢木耕太郎深夜特急を、10代の頃夢中で読んでいた。そして、酔ってしまった。

ヨーロッパやアジアを一人で旅した。

今回は5回目の一人旅だった。

バンコクの外れにある、教会のような駅に入ると大広間におびただしい人が列車を待っていた。

人一人分くらいの荷物を持っている家族や、浮浪者のような人や、観光客。シャワーを済ませて、楽なワンピースに着替えた。

身軽だった。3枚くらいの麻の服だけを持って、暑い国をずっと旅していたい。

好きな時に起きて、好きなところへ行って、道端の屋台で味の濃い料理と香草の沢山の入った麺料理を食べたい。

でも、この旅行にはタイムリミットがある。

それでも良かった。

列車が出発する30分前に列車に乗り込んだ。

三等車の環境は劣悪だった。

四人がけの席で、向かいには貧しそうな大家族が座っていた。隣にはオレンジ色の袈裟を着た僧侶。

どんな貧しそうな見た目でも、最新のスマートフォンをみんな持っていたのは、へんな感じがした。

ここから14時間。

永遠のような時間であった。

明け方、朝焼けが美しかった。

窓の外を見ながら、イギリスで乗った列車のことを思い出していた。あの時、道に迷ってロンドンからは遠く離れた田舎町に迷い込んでしまったのだけど、桃源郷のように美しくて、そこだけ時が止まってしまっているみたいだった。現実だったかは未だに分からない。

目的地があるというのは良い。

徐々に明るくなってくると、駅に止まるたび

物売りが列車の中に入ってきた。

鶏をタレで味付けした丸焼きみたいなのが、たった100円くらいで売られていてとてと美味しそうだった。貧しそうなおじさんから飲み物だけ買って、

2時間遅れでついたノンカイの駅に降りた。