2019-03-04 微かなもの 深夜0時、雨に濡れた東京駅を歩いていた。 ある春の雨の日、誰もいない駅前、夜の光に照らされて幻想のようだった。 一瞬なんだろうと思った。今は。 生きている時間はほんの一瞬で、あっという間に80年なんて経ってしまって、きっと目が霞んで、耳も遠くなって夜露に濡れて光る石畳や、晴れた日の穏やかな風の音や、そんな微かなものたちが私の前から消えてくんだろう。 微かなもの、壊れやすいものたちは今しか手にできない。