おいしいと思うものがなくなった
世の中にある食べ物は、大体美味しいと思う。
でも、以前感じていたような衝撃はなくなりつつある。
はじめて、ロイズのポテトチップスにチョコがかかっているお菓子を食べた時、世の中にはこんなに美味しい物があるのかと感動した。
小学校の給食の、サツマイモのサラダは信じられないくらい美味しかった。
どんなに頑張っても、とうとうあの味は再現できなかった。
高三の時、友達の家で作った具なしカレーにスーパーで買ったお惣菜の揚げ物を入れて食べたのは美味しかった。
大学の時、家の近くにあったニューデリーというインドカレー屋さんで食べたカレーは美味しかった。
ナンがめちゃくちゃでかくて、カレーを節約しながら食べる、その希少さも手伝って美味しかった。
小3くらいの時、珍しく家族旅行に行って、サービスエリアに寄って食べたカレーは、サラサラしてて、さらに発泡スチロールのトレーに入ってるのが安っぽさを演出するのを助けていたんだけど、なんか炊き出しみたいで美味しかった。
無人島に行った時に、いろんな具材を入れて作ったカレー、これもサラサラで、しかも炊飯器なんてないから飯盒炊爨で炊いたご飯は固かったけど、なんかすごく幸せだった。
地元にある鰻屋さんは、いつも良いことやめでたいことがあった時に行くのだけど、いつも美味しい。
フィレンツェに行った時、大きなピザを4等分したやつがたった1.5ドルくらいで屋台で売られていて、石畳の道を歩きながら食べたのは贅沢だった。
パリに行った時、丘の上のお菓子屋さんで大きなマカロンを買って、近くの大きな公園で座って食べた。
バンコクの猥雑なナイトマーケットの屋台で、食べたお惣菜。
やっぱり、食べ物を美味しいと思うにはそれなりの状況が必要なんだろう。
食事は体験であると思う。