あってもなくても同じ
始まる前はどんなに楽しみなことも、終わってしばらく経つと風化してしまう。
普通のような気もするけれど、もっと密度濃く生きたいと思う。
楽しかったことも、悲しかったことも、つらかったことも、過ぎ去ってしまえばあってもなくても同じようなものに思える。
それら全部の経験が、同じアルバムに綺麗におさめられて、時々出しては眺める。楽しかったことを思い出しては、あー楽しかったなあ、と思うし、辛いことを思い出しては、もうあんな経験はにどとしたくないなあと思う。
なあ、て。
こんなんじゃいやだ。もっともっと、全身で、全力で、満身創痍で、皮膚にタトゥーを刻むように、生きていきたいのだ。
楽しいときは、もう明日死んでも良いと思えるくらいに楽しみ、もちろん後悔なく、そして何年たってもパステルカラーもしくはくすんだ山吹色みたいなちょっと擦り切れた思い出になることなく、けばけばしい、ギラギラしていて、綺麗なアルバムにはおさめられないくらいの熱をもち続ける。そのくらい、楽しい経験を楽しみたい。
辛い経験もしかり。筋肉痛とか、原因のわからない下っ腹の痛みみたいな、地味な長時間続く痛みみたいなつらさではなく、どちらかというと日本刀で斬られるような痛みみたいな辛さがいい。いや死ぬけど。
万が一生き残ったそれこそ痛すぎるけど。
それでも、そういう辛い経験だったら色褪せないでまるで合戦で負った名誉の傷跡のように残り続けるのだ。そう、そんな辛さがいい。
なんとなく、過ぎていってしまうのがいやなのだ。だって生きているのだから、今を。