ワンデイ
クリスマスの日は、きまってはやく目が覚めた。
その年のクリスマスは日曜日だった。
もう空は明るくなり始めていた。しんと冷えた空気のなか。
あった。
赤地にひいらぎの葉が印刷された包装紙に包まれた世界一すてきなハコだ。
たぶん、細長い方が私の。
この間街のスーパーで見かけた、カードキャプターさくらの杖が、どうしても欲しくて
でも両親買ってくれなかった。
待ちきれずに開けたら、期待通りさくらだった。
神様か誰かしらないけれど、誰かが見ていてくれるのだ。ねがいはかなう。
次の年は、サンタクロースはこなかった。
あれ、サンタクロースって25日の夜だったっけ?と言いながら眠ったが、26日の朝になってもきていなかった。
次の年もこなかった。
不思議と悲しくはなく、なんというか
欲しいものは自分で手に入れなくてはいけないのだと子供ながらに思った。たしかに。当たり前のことだった。
何もしていないのになにかを欲しがるなんてまちがっている。あのとき、私が欲しかったものは。
覚えていない。たぶん、特になかったのだ。
欲しいものなんて何もない。
あれから10年以上たったいまは、どうだろうか。
今も、物理的なモノなんて欲しくない。
強いて言えば、好きな人に好かれたい。
好きな人と一緒に仕事をして、助けたり助けられたりして、手を伸ばせば触れられるくらいに近くにいたい。
いつもありがとうと言いたい。
家族を幸せにしたい。ずっと苦労した両親よ。
お世話になった人に恩返しがしたい。
大好きな人たちに会いたい。
もらったものを、ひとつひとつ返せるように。
生きていきたい。