回想
いつもいたのに、隣にきみがいないのがひどくへんな気分だ。
きみが隣にいる時、世界はきみを中心に回っているように見えた。
どこに行っても、きみがすべてで予測不能だった。
今日はどんな新しいことが起こるのだろうと、ワクワクした。ワクワクして、明日がくるのが待ち遠しかった。
きみが痛ければ、私も痛い、きみが嬉しければ私も嬉しい。
ほんとうのありがとうを、きみから言われたことは一回しかなかったけれど、今でも覚えている。
きみの隣だと、比喩でもなんでもなく世界が輝いていた。
きみの新しい恋人を、一度だけ見たことがある。
淡いピンクの袖にフリルのついたワンピースを着た華奢な子だった。
私は絶対に着ない服だ。
シンプルな黒のノースリーブにゆったりとしたパンツとヒールのついていない靴を履いて背伸びをした。
私の服は、戦うための服だ。
きみには、もう十分すぎるくらいに色々なものをもらった。
私はもう、大丈夫だ。