オーロラを見た話
三年前にアイスランドを旅していた時、
人生ではじめてオーロラを見た。
とても寒い夜だった。
ドミトリーのベッドで眠って居た。
孤独であった。心地良い孤独であった。
みんな、旅人はお互いに無関心で、でもみんなそこで生きていて、安心感は確かにあった。
夜ふけに、誰からともなくオーロラが見られるらしいという噂を聞いて、みんなで起きて見に行った。
期待していたほど綺麗ではなくて、うっすらと緑のもやがかかっているようだった。
遠い異国の地で、真夜中、全く知らない人々とオーロラを見ていた。
冷たい空気の感じや、鬱蒼とした林を越えた先にあった深い闇、その中に鮮やかに浮かんだ色彩を思い出した。
19歳になる冬だった。